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句集 天
¥5,000
祈るべき天とおもえど天の病む 石牟礼道子 1973年8月1日、夕刊の文芸欄にこの一句をメインカットに据えた、水俣病犠牲者への鎮魂文が載った。 〈地中海のほとりが、ギリシャ古代国家の遺跡であるのと相似て、水俣・不知火の海と空は、現代国家の滅亡の端緒の地として、紺碧の色をいよいよ深くする。たぶんそして、地中海よりは、不知火・有明のほとりは、よりやさしくかれんなたたずまいにちがいない。〉 〈そのような意味で、知られなかった東洋の僻村の不知火・有明の海と空の青さをいまこのときに見出して、霊感のおののきを感じるひとびとは、空とか海とか歴史とか、神々などというものは、どこにでもこのようにして、ついいましがたまで在ったのだということに気づくにちがいない。〉 この句集を編集した、北九州出身の俳人である穴井太はつづける。 「〈神々などというものは ー ついいましがたまで在った ー 〉という石牟礼道子さんの想いの果てが、やがて断念という万斛(ばんこく)の想いを秘めながら、 祈るべき天とおもへど天の病む へ結晶して行った。」 初版 カバーに焼け、ヨレ、汚れ 本体の天と小口に若干汚れがあります。
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歳月 結城昌治句集
¥1,800
ハードボイルド小説の先駆者として知られる結城昌治は、自身の結核治療のために清瀬の療養所に入所したことがきっかけで句作を始める。隣室には石田波郷、福永武彦がいた。 枯原を出るまでうしろ振り向かず 謹呈箋に辺見じゅん宛献呈署名入 本文ページに若干シミ、本体の三方に焼けがあります。
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句集 天真
¥1,700
身辺無一物を旨とする禅者が、なにゆえ俳諧などという雑なる詩と遊ぶのか。思うに求道の道程に出会う万象を俳詩の形に昇華しつつ、己を無化しようとの志か。 状態良好です。